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スポーツ報知に坂本記事

異色“大学院生ボクサー”坂本、アジア王座初防衛…卒業までに「世界王者になる」
2018年4月2日7時0分 スポーツ報知

2回、ウィチャー(左)の顔面に右フックを決める坂本真宏(カメラ・豊田 秀一)

 ◆プロボクシング▽WBOアジア太平洋フライ級タイトルマッチ12回戦 王者 坂本真宏(六島) KO6回1分36秒 同級3位ウィチャー・プーライカオ(タイ)(坂本は初防衛)(1日、大阪市・住吉区民センター)

 大阪市大の大学院工学研究科に在籍するWBOアジア太平洋王者・坂本真宏(27)=六島=が、同級3位のウィチャー・プーライカオ(36)=タイ=を6回KOで下し、初防衛に成功した。エンジニアを目指しながら、二足のワラジをはく大学院生ボクサー。WBO世界同級ランキングは9位で、大学院に在籍しながらの世界王座獲得を目指す。通算成績は坂本が12勝(8KO)1敗、ウィチャーが60勝(24KO)10敗2分け。

 大学院生チャンプの坂本が6回にラッシュし、大阪市大関係者で埋まった会場が沸いた。世界挑戦経験もあるウィチャーが2度目のダウンを喫し、タオルが投入された。初回から圧倒した27歳は、「初防衛で満足していない」と、計量前日にサウナなどで1・6キロも落とす“一夜漬け”の減量だったことを明かして反省したが、世界王座に一歩前進した。

 路上のケンカなどしたことがない優等生。ただ、高校時代から格闘技に興味があり、大学でボクシング部の門をたたいた。「殴り合う非日常にハマッた」。だが、全国レベルの大会には出場できず、大学院入試にも失敗。「どっちも中途半端や」と一念発起し、2014年、“院試浪人”をしながら、大学近くの六島ジムに通い始めてプロデビューした。猛練習、猛勉強で15年に全日本新人王を獲得し、大学院工学研究科(機械物理系専攻)にも合格した。

 修士論文の題材は「チタニアナノチューブの窒化」。朝のロードワーク後、午前10時から午後6時まで大学で研究する。夜はジムでボクシングの練習に打ち込む。「勉強とは違い、ボクシングは勝ったら喜んでもらえる」と魅力を語った。

 標的は、WBO世界フライ級王者の木村翔(29=青木)だ。16年11月に0―2の判定でプロ初黒星を喫した相手。坂本は引退も考え、機械設計会社への就職も決めた。だが、木村が昨夏に世界王座を獲得。その姿に触発された。就職を辞退してリングに復帰し、木村が返上したアジア王座を昨年12月に獲得した。

 六島ジムの枝川孝会長は、次戦は中国でスーパーフライ級の世界ランカーと戦うプランを明かした。「世界戦が正式に決まれば、休学してボクシングに専念させる」。修士課程を1年延ばし、この日から大学院3年目となった坂本も、「お世話になっている大阪市大に在籍する間に世界王者になる」と誓った。「将来は物づくりがしたい」とエンジニアを目指すが、その前に大きな夢がある。(田村 龍一)

 ◆坂本 真宏(さかもと・まさひろ)1991年1月19日、大阪・堺市生まれ。27歳。泉北高2年時、友人に誘われてキックボクシングのジムに通う。1浪して大阪市大工学部に合格し、ボクシング部で競技を始める。2014年12月、六島ジムからプロデビュー。15年度、全日本フライ級新人王獲得。17年12月、WBOアジア太平洋同級王座獲得。身長164センチの右ボクサーファイター。家族は両親と兄。

 ◇WBOアジア太平洋王座 日本ボクシングコミッション(JBC)が、2013年4月に公認したWBO(世界ボクシング機構)の傘下の地域王座。獲得すればWBO世界ランキングに入る。東洋太平洋王座はWBC(世界ボクシング評議会)傘下。

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