史上最高のノンタイトル戦 向井vs八重樫
3階級王者八重樫が村田諒太“親友”向井と負けで引退、勝てば世界の究極戦
5/29(火) 6:00配信
THE PAGE
3階級王者八重樫が村田諒太“親友”向井と負けで引退、勝てば世界の究極戦
“激闘王”の八重樫は負けたら引退、勝てば世界のサバイバルマッチ
元3階級王者の八重樫東(35、大橋)が8月17日に後楽園ホールで前WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級寝王者の向井寛史(32、六島)と負けたら引退、勝てば世界の究極マッチを行うことが28日、発表された。両者共に後のない「サバイバルマッチ」。またダブルメーンイベントとしてロンドン五輪銅メダリストでOPBF東洋太平洋フェザー級王者の清水聡(32、大橋)が、同級10位の河村真吾(27、堺東ミツキ)との3度目の防衛戦を行う。この試合も世界挑戦への最終テストとなる。
八重樫vs向井。なんともボクシングファンにとって楽しみな好カードを組んだものだ。話を持ちかけたのは大橋会長。「スーパーフライ級で八重樫がどの程度やれるのか。4階級制覇を目指すなら、ファンも本人も、そして僕も納得するカードを組まなければ意味がない。勝った方が世界へ行くサバイバルマッチになる」と、2013年4月にWBC世界フライ級王者の五十嵐俊幸(帝拳)に挑戦して王座奪取して以来、5年ぶりとなる日本人対決をマッチメイクした。
一方の向井陣営は、当初、昨年12月に取り返したWBOアジアパシフィックのスーパーフライ級王座の防衛戦を船井龍一(ワタナベ)と行う方向でいたので、ずいぶんと苦悩したようだが、全国区の八重樫に勝つメリットを優先、今回の好カードが実現した。向井陣営は船井サイドへ仁義を切ってタイトルを返上したため、スーパーフライ級契約のノンタイトル戦となるが、玄人好みの最高のノンタイトル戦になりそうだ。
この日、先に横浜で会見に臨んだ八重樫は、こう決意表明をした。
「もう後がない。負けたらおしまいってことはわかっている。どこまでいけるかわからないが、やるだけです。スーパーフライ級は僕の土俵ではなく、相手の土俵なんで、そこで相撲を取らせてもらうなら、日本人は避けては通れない。そこの人間とちゃんと勝負をしないといけない。日本人対決は気持ちを引き上げてくれる材料になる。やってくれる向井君の心意気もありがたい。だからこそ、ベストな状態で臨みたい」
昨年5月にミラン・メリンド(フィリピン)に1回TKO負けを喫して、IBF世界ライトフライ級のタイトルを失い、3月に約1年ぶりに復帰リングに立ち、フランス・ダムール・パルー(インドネシア)に2回TKO勝利したが、その内容は、1年のブランクの影響がもろに出たもので、あやうさの残るものだった。
それだけに、この試合は、真価を問われるものになり、勝てば日本人初の4階級制覇に前進するが、負ければ引退を決断しなければならなくなる。
ただ八重樫の知名度は世界的にも響いており、先日は、ロマゴンを粉砕したWBC世界スーパーフライ級王者のシーサケット・ソールンビサイ(タイ)から対戦オファーが届いた。WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が返上したWBO世界スーパーフライ級王座は、3階級王者、ドニー・ニエテスと同級2位のアストン・パリクテのフィリピン人同士での決定戦になるが、4階級王者の呼び声の高いニエテスが勝てば八重樫が挑戦できるバックグラウンドがあるという。
3階級王者八重樫が村田諒太“親友”向井と負けで引退、勝てば世界の究極戦
向井(左)は結婚披露宴で村田に「負けたら引退」を勧告された
一方の向井は、名門、南京都ボクシング部の出身で、WBA世界ミドル級王者、村田諒太(帝拳)の同級生。村田キャプテンで向井が副キャプテンだった。
日大に進んだ後にプロ転向。2011年にタイでポンサクレックのWBC世界フライ級王座に挑戦して1ラウンド負傷ドロー、2013年にはWBC世界スーパーフライ級王者のシーサケットに9回TKO負け、昨年3月には敵地で香港の大スター、レックス・ツォーに8回KO負けを喫していたが、12月にインタノン・シッチャモアン(タイ)とのWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王座決定戦で1回にKO勝利して返り咲いている。
八重樫が得意とはしないサウスポーで一発はないが、出入りのスピードを身上とするカウンターパンチャー。この20日に、すでに籍を入れていた千尋夫人との結婚披露宴を行い、出席した村田からは「これで負けたらおまえも進退を考えなあかんな」と「負けたら引退」の勧告を受けた。
「あいつに言われなくても、年齢が年齢。これが最後のビッグチャンスになることはわかっている。負けたら引退の覚悟でリングに上がりますよ。階級は違うけど、ここまで村田にずいぶん引き離されたという忸怩たる思いもある。でも、あいつの活躍はいろんな意味で大きな刺激になっている。世界のベルトを巻いて早く奴に追いつきたい。そのためには絶対に負けられない試合になる」
実は、向井のトレーナーの武市晃輔は2005年のミニマム級新人王で、現役時代に八重樫と対戦経験がある。2010年5月に当時、日本ミニマム級王者だった八重樫に同級1位の武市が後楽園で挑戦、0-3の判定で敗れたが、初回にダウンを奪い、その後、3階級制覇となる八重樫を苦しめた。
「ボクサーとしてのベースは8年前と変わらないと思うんです。実際に戦った武市さんのアドバイスをもらえるのは大きいです」
向井にとって力強い参謀だ。
八重樫も「トレーナーは武市さんですよね。やだなあ。右ストレートだと思ったらスイッチしての左でわかんなかった。強かった。センスがあったなあ、ただスタミナなかったけど」と警戒する。
向井が、この試合に進退をかけていることを伝えると「僕も同じ状況。向井にそういう覚悟があることはわかっていた。そのほうがたぶん、いい試合になります。最後は気持ちの勝負になるが、その前の段階で、いかにちゃんとボクシングができるか。いろんな方法で崩しにいくが、一筋縄ではいかないと思っている。ただ、僕の方法は、ある程度決まっている。色々とやってはめていきます。それも面白いです。ぐちゃぐちゃに潰してやりますよ」と、目力を入れた。
負ければ引退、勝てば世界へ、究極マッチは魂を削りあう世界戦並みの注目の試合となる
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)
PAEGより
史上最高のノンタイトル戦
8月17日 後楽園ホール
スーパーフライ級 10R
WBO世界スーパーフライ級14位
向井寛史(六島)
vs
元世界3階級制覇王者
WBO世界ライトフライ級11位
八重樫 東(大橋)
が決まった!
勝って世界にもう一度挑戦します
応援よろしくお願い致します