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2021.12.20 610gym

【ボクシング】西田凌佑が大橋哲朗に大差3-0判定で初防衛

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【ボクシング】西田凌佑が大橋哲朗に大差3-0判定で初防衛

 19日、大阪・住吉区民センターで行われたWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトルマッチ12回戦は、近畿大学出身で、王寺工業高校時代に国体優勝、通算53戦37勝のアマチュアキャリアがあるチャンピオンの西田凌佑(25歳=六島)が、挑戦者で同級11位の大橋哲朗(23歳=真正)を3-0の判定(119対109、118対110、116対112)で下し、今年4月、沖縄で元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(現・志成)から奪った王座の初防衛に成功した。文_船橋真二郎 写真_早浪章弘 ちょうど1年前の12月19日、プロ3戦目で世界挑戦経験者の大森将平(ウォズ=引退)に大差の判定勝ち。続く4戦目で元世界王者から殊勲の判定勝ちを収め、一躍脚光を集めた西田が地元・大阪のリングに凱旋。2018年のスーパーフライ級全日本新人王で、スピードと技巧を持ち味とする大橋とのサウスポー対決を硬軟織り交ぜたボクシングでリードし続けた。 デビュー当初のスーパーバンタム級から1階級下げて、ベルトを巻いた西田。主戦階級のスーパーフライ級から1階級上げて、チャンスに挑んできた大橋。ラウンドが進むにつれて、まず明らかになったのがパワーの違いだった。 序盤の右の差し合いを多彩な右で上回った西田は次第に攻撃の圧力を強め、4回あたりからパワフルな左を叩きつけ、返しの右フック、左右のアッパーを上下に打ち込んで、一気にのみ込むような力強さを見せた。大橋も回転の速い連打、シャープな左カウンターでよく食い下がったのだが、ペースを変えるまでには至らなかった。 それでも大橋は巧みなブロッキングとヘッドムーブで致命打は回避し続ける。5回にバッティングで右目尻をわずかにカットした西田は中盤以降、パンチに強弱をつけたり、引いて呼び込んで、あるいはサイドにかわして迎え撃ったりと、展開に変化をつける巧さを見せ、ポイント、ペースともに最後まで譲らなかった。 試合後、西田は「(プロの)ボクシングは倒してこそ、お客さんに喜んでもらえると思っているので。まとめる練習を少しずつしてきて、今回はチャンスがあったら倒したいと思っていたんですけど、倒したいという気持ちが空回りして、力が入り過ぎましたね」と反省の弁も、明かされたのが右手首に抱えていたケガだった。 比嘉戦後に痛め、大橋戦に向けて練習の強度を上げるにつれて痛みが酷くなり、スパーリングは絶不調だったという。試合では「アドレナリンが出ていたので、気にならなかった」と笑ったが「負けられないプレッシャーがあって、いつもより緊張した」と不安もあるなかで迎えたリングだった。 そのため、「彼の練習を見る限り、もともと今日はいい結果なんて求めていなかったし、背伸びしたボクシングをすることはないよっていう感じでした」と武市晃輔トレーナー。が、「(西田は)練習どおりにいかなかったと言ってましたけど、むしろ練習より良かったです(笑)」と評価したように、影響を感じさせない内容ではあった。 IBF12位、WBO15位にもランクされ、「自分としては、まだまだ経験を積みたい」という西田に対し、「チャンスがあれば」と陣営はさらに上も見据える。まずは右手首の治療に努め、回復具合、新型コロナウイルスの状況も見ながら、来年の夏頃に次戦を組みたい意向を示した。戦績は5戦全勝1KO。 敗れた大橋は12戦8勝(2KO)3敗1分。2年前の11月、現・日本スーパーフライ級7位の高山涼深(たかやま・すずみ、ワタナベ)と日本ユース王座を争い、ダウン応酬の熱戦の末、最終8回逆転KO負け。1年前の12月、西田が大森を破った同じリングで元日本スーパーフライ級王者で現・日本同級1位のベテラン久髙寛之(くだか・ひろゆき、仲里)に僅差1-2の判定負け。悔しい3敗目となった今回も12ラウンドフルに戦い抜き、折々に持ち味も見せた。このキャリアを明日の飛躍につなげたい。

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